バーバー    

 コーエン兄弟最新作品ですね。私は個人的に彼等の作風(?)というか単純に今までの作品でそんなに好きなものはありませんでしたが、この映画はとてもとても好きな部類に入るものでした。全編白黒モノトーンという最近余り見なくなった手法なんですが、これが中々見事に映像的小道具として完成されていて渋い。光と影が写し出す画面構成が非常に綺麗です。まぁそんなことより評価すべきはビリー・ボブ・ソーントンの燻し銀の演技と、練りに練った哲学的ストーリでしょう。常に眉間にしわを寄せ、常にタバコを蒸かし、常に無口、でも愛すべき主人公レイを見事に演じるソーントンはかなりいいです。渋すぎるにも程があるって感じ。彼は何度も自問自答します「自分は何ものなのか?」。他人にも何度も聞かれます「おまえは何ものなのか?」。その答えをこの映画は髪の毛と理髪師との関係という、一見何の関係も無い間柄を掘り下げる事により、見事に哲学的に答えを出してみせます。その綿密に計算された台詞群の深遠なる意味合いに、ちょっと感動しました。レイの最後の台詞「床屋になったことを今は後悔している」。これがこの映画の狙いに狙った構成を、一番端的に表していると私は思いました。人によってかなり捕らえ方の違う映画だとは思いますが、私の心にはなにか響く物があった作品でした。邦題の『バーバー』も悪く無いですが、原題の『The man who wasnt't there.』の意味を解釈しながら見るのがいいと思います。


 いやいや久しぶりに凄い映画に出くわしました。1年に一回ぐらい、こういう今までの方法論を完璧に叩き壊しくれる作品に出会えるのが、映画鑑賞の醍醐味とも言えます。本当に凄い映画でした。元はロックをベースにしたマニアックな歌劇だったらしいのです。既にその時点で、アメリカ全土のクリエイター達の心を根こそぎ奪ったという逸話があるくらい、コアファンの多かったお話を完全映画化。しかも脚本を書いた当人が主演と監督もこなしているからビックリ。全編に渡って歌パートがぎっしりです。ほとんどミュージッククリップをつなぎ合わせた感じ。しかしてこの映画の凄いのは、その歌の洪水によりキッチリとお話を進めつつ、「人は失った半身を探して生きている」というシルバスタインの『Missing piece』にも通じる痛烈なテーマをきっちり咀嚼している所。最初歌詞が英語の字幕でも表されているのに「え?」と思う人が多いと思います。「英語圏の映画なのに?」と。でもその詩にきっちりとした意義や理由が存在する事にすぐ気づくはず。それがまた自壊しそうな程に重い。こういったテーマにまともに挑んだ映画は稀なんでは無いでしょうか。しかもちゃんと破綻なく仕上がっているし。絵的にも、絵本を積み上げたような2次元絵と実写が見事にミックスされている点も、賞賛に値すると思います。後半はちょっと無理に話しを押し込めたために駆け足になっていますが、それを覆って余りあるパワーとクオリティーを持った素晴らしい作品です。


 話題騒然のドキュメントフィルム。リンチを唸らせたという枕詞と共に前評判があまりに高かった作品です。基本的に私はドキュメントフィルムを映画としては思っていないので、今まで見てもここに寸評を書かなかったんですが、これは書きます。この作品はドキュメントとしてはそれほど高得点をつけれる作品ではないからです。ドキュメント的見方をするとこれは、ムーア氏の意見という結論に向かって有利な材料を選択して、並べてみた。ただそれだけ。どちらが良いか悪いかは関係なく、他にもこれに反証できる材料は多々あると思います。なのでドキュメントフィルムとしてのメッセージ性は弱いと感じます。ただしこのフィルムは映画としては非常に良く出来ています。散漫な数珠繋ぎにみえても、キッチリとしたフリとオチが組になっていたり、笑いと緊張の配し方のバランスが非常に巧く機能していたりします。その他、音楽の挿入方法、映像の挿入方法、誉めるところは数多あります。特に私が感動したのは、ボーリンフォーコロンバインという題名の意図を説明する冒頭からの記述。単純に言葉で説明する事を易しとせず、見るものに類推させる方法論と、それをキッチリ表現する映像及び言語感覚。瞠目に値しますね。恐ろしいほど映画として技術的レベルが高いです。笑いあり、感動あり、緊張ありのいい作品です。世界全体がきな臭くなってきた昨今、こういった映画が制作され人々の注視を集めるという事実を噛み締めつつ、ドップリと絶望と焦燥感に浸れる事請け合い。


 マットデイモンが珍しく、って言うか初めて?肉体派に挑んだ本作。へ〜結構こういうのもありなんだなと変に感心してしまいました。個人的に彼のニヤケ顔が嫌いな私としましては、一切笑わずストイックに行動する彼演じる役どころにそれなりに好感が持てました。お話的には最近めっきり増えた記憶喪失もの(大雑把な分け方・・・)。それ程仕掛けや含みがある分けではない、実直なサスペンスアクションだという印象です。アクションは中々良く出来ていて、特に最初のカーチェイスシーン&マットデイモン初の本格格闘戦は見ごたえありです。私的にはヒロイン役のフランカ・ポテンテが結構いいなと思いました。『ラン・ローラ・ラン』の時とはまるで違うか弱く移り気な普通の小娘を巧く演じています。可愛いんだかどうだか分からない彼女のルックス&演技は、中々味として今後色んな映画で使えそうな予感がしました。あと、相変わらずのしかめっ面のクリス・クーパーもいつもどおりの渋い演技を見せております。全体として普通に面白い映画ですが、取り立ててここ!っていうモノが全く無い。いたって平均的な作品。


 ご存知名作の続編。今回はウェンディーの娘、ジェーンがネバーランドへと誘われ騒動が巻き起こります。前作と違うのはジェーンが頑なに夢の世界を信じず、非常に現実的だと云うこと。といっても結局ピーターパン以下の面々によって信じる心を取り戻し、空を飛び、フック船長をやっつけてしまうんですけどね。アンチテーゼなど全く存在しない勧善懲悪な物語です。そりゃそうか・・・。いきなりピーターパンとか殺されちゃっちゃお子様は泣きますもんね。で、まーお子様映画としてはそこそこ楽しいですよ。ただ問題はもっと根深い。これ明らかに作画レベルが低い。CG部分もかなり御座なり。制作費もかなり御安く仕上がっているようで、画面からもそれがヒシヒシ伝わってきます(きちゃだめ!)。でもタイトルのネームバリューからアメリカで大ヒットしたのです。年間興行成績のベスト10に入るほどに。で、苦言。この甘い汁に味を占めた大人達が、来年度旧ディズニーアニメの続編をそれこそ続々制作中だそうです。それでいいのか?そんな方法論でいいのか?まぁこれは日本のキャラクタービジネスにも言える事ですが、こういう事ばっかしてるとそのうち新規でモノを造り出す力が失せてしまいますよ。そんな一抹の不安を感じる作品でした。私は無しだと思います・・・。

ブラッドワーク    

 完全におじいちゃんになってしまったイーストウッドが頑張るサスペンス。役どころとしては心臓移植をした元刑事。移植の後遺症で薬を飲み続けなければならないという設定なのだが、ホントに演技?と思わすほどお疲れぎみです。もちろん実際かなりの高齢なのですからこの役には適しているのかもしれませんが、正直心配になってしまいます。お話的には割と典型的なサスペンス。題名がブラッドワークだし、主人公が心移植をしているのだから、これがお話のベースになってくると思いきやそれ程でもない。どちらかというとサスペンスを解く鍵になっている。またこの謎解きがやたら強引。推理モノとしてはもっとも陥ってはならない、結果から道程を作っている様がありあり。「そんなわけないっ!」連発。あとジェフ・ダニエルズを配役に据えるのは無しでしょう。あの人がただのいい脇役のまま終る分けない。そーらそのうち本性現すぞーって思うに決まってる。案の定だし。その辺りももう少し熟慮が欲しい。色んな意味で無理が見える、そんな作品でした。


 なんだ結構面白いじゃないですか。そんな台詞が終演後口をついて出た作品です。前作が余りに原作知名度頼りのお座成りな内容だっただけに、全く期待していませんでした。よっぽど改心したのか(失礼)、今回はエンターテイメントとして十分認めれるモノまで達していると感じました。少々長い上映時間を余すところ無く世界観の掘り下げと、キャラクターの活躍に巧く分配しキッチリ纏め上げています。チョッピリ強引ですが、トビーの存在で血なまぐさい物語を挟み込み、楽しい印象にしようとする配慮が見れるのも好感が持てます。ただやっぱり結局お子様物語であるのは間違いないという感想。それに石化現象の犯人がバジリスクって、そんなファンタジーで使い古されたもいいところのオチを、よく恥ずかしげも無く使えるとある意味関心します。っていうか今の人たちはこれがオリジナルと思ってみているのでしょうか?謎。その他、出典が一発で分かってしまうファンタジー表現がザクザク存在していて正直「こんなのアリなの?」って思う部分ばかり。これで大人達も楽しめるっていう触れ込みなのが私には全く分かりません。映画としてはそれなりに楽しめる作品ではありますが、ハリーポッター産業自体に疑問を感じてしまうわたくしでした。

8人の女たち    

 手法的には非常に古臭いものに終始しています。登場人物もタイトルどおり8人限定。カメラも定点が主。もちろんすべて意図的にですが。それが中々効果的に働いていて、全編通してお洒落なテイストを醸し出しています。途中挿入される歌パートもなんともキュートで素敵です。エマニュエル・ベアールやカトリーヌ・ド・ヌーブといった大物女優達の歌声と、妙な踊りを見るだけでも価値があると思いました。恐らく現場は終始他のしげだったと感じられる(多分ね)演者達のはっちゃけぶりが、それだけで作品としての面白さを保たせされる程愉快です。惜しむらくはストーリー自体も古典的な歌劇のままってのが気にかかる所。こういうテイストの物語ならそういうオチになるだろうなと思わしといて、実は・・・っていう演出が欲しかった。これでは古い劇台本を映像化しました、ってだけで終わってしまう危険性も あると思います。キャスティング的にも演出的にも高いレベルで成功しているだけに、もう少しシナリオに気を使って造って欲しかったというのが正直な感想。

バルニーのちょっとした心配事    

 フランス発の下ネタ応酬おばか映画。トレーラーを見て非常に面白そうなコメディーだと感じて見に行ったのですが、トレーラーの方がテンポが良くて面白い。そんなまずいパターンにはまってしまっている作品でした。トレーラーから見て取れるプロットは最高です。女房とゲイの恋人と熱烈ギャル、三人から同じ列車旅行のチケットをプレゼントされたバルニー。さてどう切り抜けるっ!って感じなんですが内容をみるとそんな流れじゃない。早々と旅行は中止になるし、浮気相手は速攻で女房の元に訪れるし。バルニーは巧く切り抜けるというより、終始キレまくり。台詞の運びもなんだかモッタリしている。全体的に極端にテンポが悪いような気がします。後半矢継ぎ早に色んな人の不貞が露になる辺りは内容よりテンポ命のような所なのに、そこがうまくいってないもんだから笑えるものも笑えない。それ程テーマ性を求めてそうなっている訳ではないので、ただ単純に話の流し方に問題があるような気がします。ラストもなんだか妙な間が気持ち悪いし。 ホントにトレーラー通りこの設定で電車内のドタバタ劇のみに終始すれば、結構ドリフ的な面白さが作っていけたんではないでしょうか?もったいないと思います。関係無いですが久々にマリー・ジラン嬢の姿がみれて良かったです(そんなんばっかり)。


 殆ど予備知識無しに見に行ったんですが、始まって数十分間ぐらいこれがモスマンを描いた作品だと気づきませんでした。おもわず「いまごろモスマンてっ、Xファイル じゃ無いんだから」って思ってしまいました。そしてビックリなのが件の0点映画『サイン』とシナリオが被りまくっている所。どうやらこちらの方が先に公開されて いるようで、まぁそれもそれで複雑かな・・・って感じですね。ただこっちはあのわけの分からない弱っい宇宙人は出てきません。それだけでも御の字です。わたし的には 好きな点がありました。それはカメラアングルと照明の効果ですね。劇中ずっとカメラが常にセンターからオフセットしていて妙なアングルになっています。そこに 何かが有るんではないかと思わす効果としては中々覿面。そしてその何も移らない空間は物凄く暗い影が落ちている。この辺りがうまく出来ていて別段大きな音や ショッキングな映像がなくとも妙な恐怖感を植付けられます。冒頭から謎の応酬で、妙に引き付けられる演出でリチャードギアといっしょに観客も「え?何?」って引き込まれる 魅力がありました。ただまぁそりゃそうなんだけど謎は解明しません。それが悪いとは言いませが、それでも見せれる心情的なオチが欲しかったところ。リチャードギアは 結局この事件を経て何を得て、はたまた何を失ったのか?妻とかそういう物理的な話ではなくね。今でも解けていない謎を題材にしている以上そことは違う到達点を 用意しておく必要性があったのではないかと感じた一本でした。


 ゲーム原作の映画はヒットしないという昔から何度となく言われているジンクス(もっとも理由はあると思いますが)に毎年1〜2本は挑みますね。本作もガチガチのゲームよりの映画化。ゲーム版バイオハザード1のさらに前のお話らしいですが職業に似合わず私は本ゲームをやった事が無いので良く分かりません。純然と映画としての評価を。まま見れる作品ではあります。ゴシックなゾンビムービーだしビックリさせられるシーンも多々ありでお化け屋敷感覚で見に行くのが得策。決して映画としての整合性や理屈を求めてはいけません。まま見れるという大きな要因はジョボビッチ嬢の可憐なルックスと素敵な御召し物に頼っている感は否めません。なぜか肌もあらわにミニスカでがんばる彼女がかっこよく素敵です。最後のおちも古臭いB級ダーク映画っぽくてなんだか郷愁を誘うものがありました。まぁこういう映画ですから満点でも60点くらいかなっていうのも見る前から分かっているでしょう?そんな感じです。あっコンピューターのレーザー攻撃は中々素敵な新機軸(って言う程でもないか)でカッコ良かったです。

ピンポン   

 窪塚洋介主演青春卓球ムービー。映画の内容、評価云々よりも前に『青い春』と共にこの作品もヒットすることによって広い年齢層に日本には世界のどこに出しても胸を張れる松本大洋という天才が存在すると云うことを認識、再確認してもらいと切に願います。さて映画はというとCGとイメージシーンを多用することによってスピード感のある仕上がり。しかして誉めれるのはそこくらいのもので演じている若者達は原作のイメージを壊すまいと空回りとも取れるハイテンションでどうも地に足がついていない感じ。落ち着いてシーンを眺めれないというのが実直な感想。いうまでも無く原作は他に類を見ない強烈な芸術性を持つ漫画の最高峰。それをそのまま2時間弱の映画にしたって面白くなるわけがない。そこはそこで映画という媒体の持つ優位性を追求しある程度オミットとディフォルメを加えなければならないと思います。それは極めて難しい作業ですが映画化を売りにする以上それは外せない工夫なはずなのです。が、この製作者はそこを無視して無理やり映画に詰め込んだ、そんな強引さが見て取れる作品になってしまっています。こんなことなら映画にして欲しくなかった・・。それが正直な所です。この作品を見て面白いと感じた人は原作を読んでみることをお薦めします。


 カンヌ映画祭でトリプル受賞を成した本作。女性の心の闇を切々と浮き彫りにしていて、かなり暗く深く心に切り込んで来ます。特に注目したいのがイザベル・ユペールの演技。正直言って背中に氷水をかけられたかのような背筋の寒くなる程の演技力はさすがさすが。最後のシーンのあの顔は暫く忘れられそうにありません・・・。その他全ての演者が恐ろしい程の演技を見せていてかなり重厚感があります。カンヌが好きそうな作品と言えばそれまでですが。私的にはシナリオの歪んだ女性の考えに追いつけず理解する事もままならないというのが実状。それとおそらくは演出なんだと思いますがどうもシーンが変わる度に別のエピソードかと思うくらいお話がぶつ切りで、ショートフィルムを積み重ねたような進行の仕方に着いて行けない感が強かったです。体感時間が非常に長く感じました。演技と言うものの素晴らしさを堪能できる作品ではありますが、映画の進行と言う点ではあまり好みでないといった作品でした。

フォルテ   

 正直この映画はイマイチ何が言いたいのか分らない所が多かったです。全体としては「浮気はいかん!」って事なんだろうが細かい部分が?に感じる事が多い。細かいナンセンスコメディーを沢山積み上げたって造りなんだがどうも私には伝わってこなかった。面白く無いと言えばそれまでですが、夫のいい加減さ加減にちょっとむかつきます。それに邦題が分けのわからなさに拍車をかけています。原題は『Town & Country』。これだと割と内容と合致していて「あーそれがテーマか」って分る。女性と男性の側面を比喩しているともとれるのですが・・・。『フォルテ』なんてまったく関係ないし。日本の配給会社かたは何を思ってこういう邦題にしたのか。ホトホト疑問に思います。


 ミニードライバーの大ファンの私としましては、久々の彼女の映画で満足な感じ。映画としても結構面白かったです。これを女性の権利とか、ミスコンの存在意義等といった重いテーマで解釈するとちょっと消化不足ですが、母娘愛をモチーフにしたコメディだと思うと結構楽しい。ラストも気持ちいいし。それよりとにもかくにもミニードライバーが素晴らしい。いつもは人のいいおねー様役が多いのに、今回はホントにむかつく役を見事に熱演しています。顔もいつもとまるで違うように見えました(メイクのせいもありますが)。彼女のタレントの幅の広さを感じれる作品でした。子役の子も中々。ウッとおしいくらいに癇癪を爆発させる所は、演技とは思えない程(演技じゃ無いのか?)。私的に一番最後のガラスのケースに入れられるシーンがなかなか見ごたえがありました。荒けずりだけど楽しめる作品ではありました。


 ベタベタの極地。この一言に尽きる古典的サクセスストーリーを、見事に外す事無く作り上げた作品でした。人見知りで目立たない女の子が、実はとある国のお姫さまだったという、プロットを聞いただけで大体の話の流れとオチまで見当が付いてしまうのですが、それをまるで逆らわず映像化しています。殆ど古典落語の世界。細かい設定やメッセージ性なんかを完全にすっ飛ばしてエンターテイメントとして、映画として根源的に目指す楽しさをズバリと射た感がありました。監督から「楽しいでしょ?気持ちいいでしょ?それでいいんじゃないの?」と言われているような気がしました。そう!楽しくて気持ちいいんです、この映画は。いい人ばっかりが出てくるし、テンポも恐ろしくいい。最後のスピーチのシーンからエンドにいたるまでの流れは文句無しです。多少小ネタが多すぎで制作者本意になってイマイチ伝わりにくい所があるので、もうすこし決め打ちでも良かったかと感じます。ゴチャゴチャ感がもったいない。まぁとにかく映画館から踊りながら出て来たくなる、痛快な映画なのは間違い無いです。


 バカバカアメリカンコメディー。楽しかった。しもネタ&ブラックジョーク爆発で全編笑いの要素が息切れする事無く綺麗に配置されていて飽きません。久々にしゃかりきなジェニファー・ラブ・ヒューイットがオシャレでセクシーでキュート。彼女の魅力だけでこの映画かなりもってる感じもします。シガニー・ウィバーのちょっとキツめの山を越えてなんだか開き直った感の有る演技もいい感じ。その他あまりにも濃いわき役達のキャラクターも楽し気でいいです。お話的には何でも軽ーく置いてこいな感じ。こまかいツッコミは無用。その場その場の細かい笑いを楽しめ!っていう割り切り方が潔いです。フリに対してきっちりオチが付けられている所もアメリか映画らしさが良く出ていると思います。途中多少、母親の存在とはとかいうメッセージ的な台詞がでてきて「この映画はそうじゃないだろ」と思ったりもしましたが。ラストの気持ちいいオチを見つつニヤリとしに映画館に行く価値は十分有る作品でした。


 切り裂きジャックの史実を中々面白い側面から描いた作品。元来ジョニー・デップが大のジャックザリパーマニアだということなのですが、そのこだわりぶりが結構いい方に転んだように思えます。キャラクターの位置付けも分かりやすいし魅力的。ジョニーデップの飄々としたキャラも適役だし、ヘザーグラハムを始め娼婦の面々も恐怖に引きつったいい表情をしています。フリーメイソンなんかが出て来た辺りからイマイチ話がごちゃごちゃし出すのですがまぁ重大事件の真相を明かすのだから仕方が無い程度だと割り切れました。ただ難点は実際の資料に基づいて撮ってるシーンとそうで無いシーンが完璧に見る側から分ってしまうのがちょっと物語の円滑性を台なしにしているように思いました。もっと大胆にアプローチしてケレン味たっぷりに描いた方が映画としてはまとまるような気がするのですが。まぁ軽い娯楽として十分楽しめる作品なのでありはありです。


 思っていたよりは割と面白かった。一人の女性を取り合う全く違うタイプの男性という使い古された構図を、かなり硬めに描いていて実直な造りに好感がもてた。細かい設定や理屈を抜かして男女の関係のみに特化して描いているので言いたい事はよく伝わる。名曲に乗せた軽いタッチも映画の主題にあっていていいと思う。ただしちょっと造りが硬すぎで古すぎ。最後のオチへのネタフリが分からせすぎで白けてしまいます。もう少し「えっ?」と言わせる最後の演出が欲しかった。そうすれば全体として締まった構成になったような気がします。あとブルースウィリスがハンサム男という設定もちょっと無理がありそげ。言ってる事ちょっと臭いし。でもやっぱりケイトブランシェットは魅力的な女優になってきたなと思います。『みみに残るは・・』とは又全然違うキャラを見事に演じてるあたり、かなり感心してしまいます。このに作品を見るだけで彼女の才能の一端に触れることが出来る事請け合い。


 どうしても『オープンユアアイズ』と比べてしまうこの作品。しかもオチが結構キモになっているだけに知っていると面白さ半減な感は否めません。恐らく『オープンユアアイズ』を見た人と見ていない人では評価が変わると思います。でもやっぱりドンデンを最後に持ってくるストーリーにしては、その必然性を物語りのテーマに持ってきているこのシナリオ、私はかなり評価できると再認識しました。割と忠実にリメイクしている感も中々好感がもてます。それに加えてハリウッドのクールな映像表現がカッコよくて作品によくマッチしていると思います。この辺も元を見ていない人には単純にお薦めできる点でもあります。演者達の贅沢さも魅力だし。特に私はキャメロンディアスの演技力の底の深さはかなり見所だと言えると思います。恐ろしい程の眼の力が秀逸。全体としてレベルの高い作品ですが正直思うのはリメイクの必要性は?ってことですね。題名もオープンユアアイズの方が内容に合致していていい気もします。