| コーエン兄弟最新作品ですね。私は個人的に彼等の作風(?)というか単純に今までの作品でそんなに好きなものはありませんでしたが、この映画はとてもとても好きな部類に入るものでした。全編白黒モノトーンという最近余り見なくなった手法なんですが、これが中々見事に映像的小道具として完成されていて渋い。光と影が写し出す画面構成が非常に綺麗です。まぁそんなことより評価すべきはビリー・ボブ・ソーントンの燻し銀の演技と、練りに練った哲学的ストーリでしょう。常に眉間にしわを寄せ、常にタバコを蒸かし、常に無口、でも愛すべき主人公レイを見事に演じるソーントンはかなりいいです。渋すぎるにも程があるって感じ。彼は何度も自問自答します「自分は何ものなのか?」。他人にも何度も聞かれます「おまえは何ものなのか?」。その答えをこの映画は髪の毛と理髪師との関係という、一見何の関係も無い間柄を掘り下げる事により、見事に哲学的に答えを出してみせます。その綿密に計算された台詞群の深遠なる意味合いに、ちょっと感動しました。レイの最後の台詞「床屋になったことを今は後悔している」。これがこの映画の狙いに狙った構成を、一番端的に表していると私は思いました。人によってかなり捕らえ方の違う映画だとは思いますが、私の心にはなにか響く物があった作品でした。邦題の『バーバー』も悪く無いですが、原題の『The man who wasnt't there.』の意味を解釈しながら見るのがいいと思います。 |
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