またまたやってきましたスターウォーズ祭り!まー毎度毎度よくこれだけ誰も到達できぬイマジネーションの世界を、さらっと見せてくれるもんです。個人的にスターウォーズのお話やキャラクター等々にはあんまり思い入れがありません。でもわたしがスターウォーズが好きなのはメカのデザイン、設定がとんでもなく緻密で素敵だからです。エピソード1のメカデザインが個人的にあんまりだっただけに、今回は期待していました。まったく期待を裏切らない、っていか飛びぬけてかっこいい‘無骨’なデザインの数々にただただ呆然。だんだん旧3部作に近づいて来たからでしょうがほんとにカッコイイ!ほんの一瞬しか出てこないドゥークー卿の光子帆船も、最高によかったです。映画の内容としましてもロマンス有り、サスペンス有り、そして超絶戦闘シーン有りでまさにお祭り状態。最後のジオノーシスの戦いはほんとに今まで見たことのないような場面の目白押しで、口開けて見てしまいました。ちょっとボスキャラの絵的な押しがいまいちの感もありますが、個人的にエピソード1より2のほうがかなり好きです。徐々に紡がれた陰謀の因果律が成就の時をむかえ様としてきました。あれだけワラワラいる屈強なジェダイの騎士たちが、どうやって謀殺されていくのかも見物だし、4にどうやってつながっていくのかも見物です。ワクワクしながら3年(?)待ちましょう。


 正直1がシュールな設定に気を使う余りあまりそこにモタモタしてしまって、突き抜けていなかったので続編といってもあまり期待していませんでした。が、この映画は面白かった!もぅネズミが何で?っていう突っ込みも何のその、逆に「文句あんのか?」ぐらいの突き抜けさ加減が、気持ちよく見事な冒険活劇に仕上がっています。なんだか昔の東映アニメを思い出すような、ハラハラドキドキ感が非常にいい。もちろんこういう映画ですからご都合主義だし勧善懲悪、醜いシーンなど皆無。でもそういったカテゴリの中できっちり仕事をしていると感じます。ラストの空中戦はホントに手に汗握ってしまいました。それに前作より引き継がれたCGの美しさが素晴らしい。特にヒロインの小鳥、マーガロは可愛いったらありゃしない。その他、豪華な声優陣も見所(聞き所?)。この作品は子供と見るための映画という分野では飛びぬけて面白いと言えると思います。完成度が非常に高い。あまり先入観無しに、頭を空っぽにしてスチュアートの活躍を応援するのが、楽しめる良い方法だと思います。かなりの興行収入だそうなので、もちろんさらに続編を作ってくれる事を願います。


 中々よく出来たサスペンスでした。個人的にサスペンス映画は作るのがかなり難しい分野だと思っています。どんでん返しを無理無理作ることは簡単なのだが、それを余りやりすぎると、見る側を置いてけぼりにする手前勝手なものになってしまいます。かといって分かりやすい作りにすると、話の高低がなさすぎつまらなくなる。この辺の微妙な構成がこういった映画の一番の肝になると思います。この作品はその点が非常に巧くまとめられていると感じました。全てのキャラの説明、それぞれが目指す場所を分かりやすく短時間で冒頭で説明しておいて、後は犯人と家族との攻守の目まぐるしく変わる展開を楽しますという造り。テンポが恐ろしく良くて、それほど大きな謎解きが無いのにグイグイ引き込まれる魅力がありました。出演者全員が物凄く知能が高いのも素敵で、裏読みや先読みのオンパレードで主導権を握ろうとする人々が凄くカッコいいです。意外にアクション映画的要素を多用した所も勝因だとも感じます。それらの要素が巧く絡み合い、運用されて最後まで緊張の糸がピンと張ったレベルの高い作品に仕上がっています。お薦め映画です。


 久々ドリュー・バリモアが主演の映画。本国で批評家陣からかなりの好評を得ていた作品だけに期待していたのですが、日本で単館上映な上宣伝等も全くやらないので、危うく見のがす所でした。見のがさなくて良かった!かなりいいものが沢山見て取れる素敵な作品でした。まず素晴らしいのは作り手の構成力。前半は短い尺の笑いが詰め込まれたコメディー一色。しかして後半は、そのコメディーパートで使われていた文言を要所要所に利用して、見事に織り成される人間ドラマ。頭の所でストリーテラーが息子だというネタばらしをしといて、過去シーンと現在シーンとのタッチを、そのカテゴリーが変わる所で切り返す辺りも非常に巧です。もちろんバリモアが主人公の人生を丹念に演じていく演技は、非常に気持ちいい。各々の年齢に合わせた物腰というか態度が、凄く現実的で等身大の女性を感じさせて見事でした。全ての人が脆弱で堪え難き感情の起伏を持っていて、それが当然という前提のもとに、父から娘へ、娘から息子へ、そして娘から父へ。それぞれの人間関係にぐっと焦点を合わせた物語が、凄く微妙で押し付けがましくなく繋がってくる展開もよくまとまっています。最後の車中の父娘二人の表情が非常に印象的。人の心を露に描いた良作でした。


 待ちに待った事、実に10年!私がこのスパイダーマンリメイクのお話を聞いたのは、なんと高校生の頃でした。それから泥沼の版権獲得争いが続き、やっとの事で漕ぎ着けたロードショー。制作側はもちろんですが私にとっても感慨一塩です。そんな事は捨ておいてもこの映画はおもしろい。もぅ細かい話しは抜きに映像が凄まじい。みててホントに気持ちのいいアクションです。無理からのCGもありって感じのパワーが画面に溢れていましたね。またキャスティングがいい。報われない境遇のトビー・マグワイアはもはや彼の十八番になりつつあるように思います。キリスティン・ダンストのクルクル変わる表情と可愛い衣装が艶やかでいい。その上で悪役にデフォーを持って来る辺りが玄人を唸らせる。彼の悪役顔はやっぱり凄いです。素顔でもマスクを付けてるようなギザギザの牙は何とも素敵です。シナリオにもアメコミの基本とも言うべき、ヒーローの悲哀というものがキッチリと練り込まれていて、王道は外さない造り。アメコミ原作モノでは近年ぴか一のいい映画だったんでは無いでしょうか?ただ一つ難点をあげるとすれば監督です。個人的にサム・ライミーのB級表現が大の苦手なので、そこはかと感じられる彼の臭いがどうもしっくりきませんでした。完全に続編を作る気満々らしいので、出来れば次は監督を変えて欲しいと心から望みます。

ストーカー    

 久々に目の冷めるような最低な邦題が話題の本作。いっちゃいますとこれは全くストーカーのお話ではありません。変質者は変質者ですが。主題がストーカー行為とは 全く違うところにピントが合ってまして、客寄せ的にこういう題名にしたと言うのが真相です。騙されないように。テーマは、現代社会に取り残された他人とつながりを 持たない孤独な、でも善良な人間が、自分の殻の深みにはまって行き精神に異常をきたす。その瞬間、人は何を考えどういう行動を取るのか?って所です。フォーカスを そこだけに絞りきっているので、主人公の精神の浮き沈みを丁寧に見ていく事が出来ます。白を基調にした画面作りがお話の泥臭い部分を消し去っていて、全体としての 雰囲気を引き締める効果が出てます。その辺りの画面的演出は高いレベルにきていると思います。お話的にちょっと弱いのは否めないところ。最初の警官の言葉どおり 「なぜこんな事をした?」っていう質問の答えが見えてこない。ここまで主人公の精神にクローズアップしつつも結局それが感じ取れないのはどうも致命傷のような気がします。 主人公をかなり優しくキャラクター付けしすぎたのかも?

JAM FILMS    

 一応自分の在籍している会社が作っている映画なのにちゃんと自腹で見ました。『こちトラ自腹じゃ』って感じかな(いや常に自腹だし・・)。こういう ショートフィルムの集めたものって評価がしずらい。とりあえず好きだったのは堤氏の『HIJIKI』と岩井氏の『ARITA』かな。前者はなんだか妙におかしく 噴出すような笑いが満載。氏の持つ独特な世界観が良く表れていて素敵でした。後者はやはり岩井俊二は空気で映画を取れる、凄い才能をもった人だと 再認識した。意味は全く分からないがその空間の作り方が非常に気持ちよかったです。まぁ個々の作品には好き好き有るのでこのへんで。で、少し苦言を。 多分一つ一つの作品を切り売りするつもりなのでしょうか、作品毎にエンドロールが付いております。それが非常にテンポが悪い。それに全編通じたテーマや 共通演出が全くなく、これではホントにショートフィルムを寄せて前後にJAME FILMSっていう看板を付けただけだと思います。せめて大まかでもレギュレーション をつけないとあまりに散漫。見終わったあと「で?」って言ってしまいました。この七本を一本として劇場で公開し、お金を取る以上もう少し熟慮が 欲しいところです。


 毎度おなじみウッディアレン的ラブコメ。今回は結構破滅的なお話であります。結局はラブコメだけど。催眠術に操られた二人が無意識のうちに 犯罪を重ねていくがやがて真相に気づいて・・・って感じ。途中収集できぬほど場当たり的なお話の展開になるのだが、そこはそれキッチリとラストに纏め上げる のはウッディアレンの手腕。以外にほんのちょい役であるシャーリーズセロンがいい味を出していて、出し抜かれた 感もありで面白いです。一番の見所はウッディとヘレンハントとの耳をふさぎたくなるほどの毒舌合戦の嵐。とにかくひどい言葉の応酬で 互いを攻撃しあいます。これがもぅ笑えること。よっぽど頭よくないとそんな切り替えし出来ません。私はこの映画のラストシーンが大好きです。 催眠術が解けていることが分かった時のあのウッディアレンのオロオロした芝居は最高でした。こういうキャラをやらせるとやはり右に出るものは いませんね。やはり最近の彼の作風らしくテーマ性が乏しいのが少し寂しいですが、十分楽しめる作品でした。


 いやーやっぱりケイトブランシェットはいい女優さんだ。そう再確認。この映画は彼女のタレントのみにクローズアップした非常に贅沢な作品。 そこだけに的を絞る事によって、その他の細かい部分には目が行かないようになっています。そのフォーカスが見事にバッチリ合っていて、彼女の ファンならず楽しめると思います。そういった意味でも凄く構成がうまく出来ている作品であるといえると思います。自由や正義のためではなく 自分自身の欲望のためだけに突き動かされた、強い女性の姿が見事に瑞々しく表現されています。多分人は人を愛するという気持ちだけで、これくらいの事は 出来てしまうんだろうな、と素直に納得する事が出来ました。それもこれも彼女の心情にグッとのめり込める造りになっているこの映画のレベルの 高さからでしょう。私的には最後のヒロインの台詞が「頼むから言ってくれ!」と思ったままだったので最高でした。抑揚も完璧。かなり残刻な内容ながらも 見終わったあと爽やかな気持ちになれること請け合いの快作です。


 あの『ハピネス』のトッド・ソロンズ監督最新作。こりゃもぅ期待大。ちょっとこの作品は変わっています。前半が「フィクション」、 後半が「ノンフィクション」とそれぞれに副題のついた別の物語が進行します。互いに全く絡まないのが少々残念。両方の物語に共通して 若者の強い虚無感というべきやり場の無い感情が溢れ返っていて中々見ごたえがあります。聞くに堪えない差別表現の数々が映画を形作る 大きな要素になっているのは監督の十八番といった感じ。私的には後半のお話の方が好みですね。少年の自暴自棄でありながら功名心を 宿した荒削りな感情と、映画監督の野心とがけっぷちの人生が、事件を中心にして徐々にオーバーラップしてくるあたりの表現が素晴らしかった ですね。有名になれる素材を掴んだのに、悩み自問自答する映画監督の心が上手く描けている点も評価に値すると思います。っでこの映画 なぜ二部構成にしたのでしょう?どちらもそれだけで見せられるいい作品なのに。もちろん監督としての意図がそこには介在するのでしょうが、 結局私にはそれが汲み取る事が出来ませんでした。まだまだ熟考が必要ってことでしょうか。重たくも可笑しいトッド・ソロンズ独特の 世界を楽しめる方にはお勧め。

ジョンQ   

 おもしろかった。かなり期待していて、前評判も高かった作品だけに一言も聞き逃してやるモンかという意気込みで(いや そんなにではないかな)見入ってしまった本作。確かにおもしろかった。最初のシーンから手ごたえ感じれる映画って感じ です。デンゼルワシントンの演技も素晴らしいですが、脇を固める演者陣もかなり良いです。ロバート・デゥバルやジェームズ・ウッズ がまた渋い渋い。お話はかなりアメリカ色が濃おう御座います。保険制度、凶悪犯罪、司法制度。これらアメリカが持っている 誇るべき?問題点を風刺しつつ一本の筋に纏め上げている手腕は見事としか言うほか無い。 練りに練った脚本と、狙いに狙ったキャスティングが見事に合致して、素晴らしい作品へと仕上がっています。 事件がひとしきり解決して終りかと思いきや、最後の最後まで楽しませてくれる精神も溜飲が下がります。ネタ振りを随所に 散りばめつつ、最後にあれを持ってくるか・・・って感じでやられました。久々に尻尾までアンコの詰まったと表現するに 相応しい、いい映画に出会えました。


 エディーマーフィーとデニーロという異色コンビが織り成すアメリカンコメディー。テーマとしているのは、 マスコミで取り上げられる偶像としての刑事像と、実物との温度差。それを終始オキラクゴクラクのエディーと しかめっ面のデニーロを当てることで表現しようと挑んでいます。このキャスティングが決まった時点で製作側は 疲れ果ててしまったのかなって思ってしまいました。正直余り巧くこの素材とテーマを使い切れて無いように感じました っていうのも結局見終わってみると「んっなこたない」って言う感想に落ち着いてしまうから。コメディーなんだから そりゃそうっていうのも分かりますが、これでは全く新規性が感じられません。一番の原因は最終的に解決すべき 事件が全く持ってありえないって事でしょう。もしこの設定とテイストはいっしょでもっともっと地味でシリアスな 事件を解決する映画に仕上げていたら、このキャスティングと同じで良い意味の不協和音が感じられておもしろかった のではないかと思います。それはそれでかなり作り手のポテンシャルを問われる挑戦でしょうが。勿体無い。


 これはラブストーリーではなくコメディーです。そう見ると中々面白い。馬鹿馬鹿しい位に主人公の二人を偶然の連続が襲います。そりゃもう造ったように(いやっ造ってるんだけど)。その偶然にハラハラと紙ふぶきが舞うように翻弄される人たちが面白おかしくテンポ良く描かれています。このテンポのよさだけが売り(失礼)の映画なので、そこには気を使っているという一所懸命さは伝わってきます。それは悪い気はしないですね。ただ、時間の使い方に沢山の疑問が残る所。とりあえずもっとケイト・ベッキンセールとジョン・キューザックの奇行の密度を上げる事に重きを置いて欲しかった。今のままではコメディータッチのラブストーリーに過ぎないから。出来ればラブストーリータッチのコメディーぐらいの勢いで。そのためには二人のかりそめの結婚相手の説明なんか必要ないと思います。結局ふられるのは最初から分かっているわけだし。極端なことを言えば画面に映す必要も無いくらい。そうしておいて関係の無いサブキャラ、あのデパートの店員みたいないいキャラを沢山絡ませていった方が、間延びもなく退屈せずに楽しめたんではないかと思います。きっちりと話の持っていき方を考えればかなり面白くなった素地を持っていた作品だけに、惜しいと感じました。


 こりゃすごい。何が凄いって日本版と殆ど同じ脚本だということ。のみならず演出もかなり共通性がある。今まで日本の映画をハリウッドでリメイクした事は何回か有れど、 殆どプロットの部分だけの引用だけに留まるものが殆ど。ここまで一緒に作ったのは初めてなんじゃないでしょうか?日本の企画がアメリカにも十分通用するという前例をつくった 意義ある一本だと思います。これから日本映画のリメイク化権をめぐって沢山のエージェントが暗躍(失礼)する時代が来るのかと思うと面白いですね。内容に関しては 日本版の超能力に関する記述だけを薄めにしただけで、殆どそのままです。オチに関しても一緒。まぁそこそこビックリする所もあるし楽しめると思います。ナオミ・ワッツの役所に 没頭したいい演技は見所だと思います。日本版と違って噂と都市伝説の伝わりってのをテーマに持ってきている見たいですが、元々が都市伝説のような内容なので 別に新規性は感じられませんでしたね。ちなみにこの作品、70億の制作費がかかっているそうなんですが正直どこに?って感じです。日本版の20倍近い制作費をかけて ここまで同じ映画を撮ることに製作者側になにか違和感みたいのは無かったのか聞いてみたいところ。「どの辺りが作る意味があるんでしょう?」って。


 チャン・イー・モウ監督新作。これはやられました。殆ど反則に近い。彼の映画には珍しく分かりやすい御涙を取りにっている作品です。それ故ディープなファンからは 「あんなのはチャン・イー・モウじゃない」とか「ずるい」などと揶揄され賛否両論ですが、私は大賛成です。お話自体は欧州圏の古い戯曲なんかに良く出てくる善意の嘘 をモチーフとしており、純真な娘を取り囲むこれまた純真な大人たちの化かし合いをベースにしています。笑いながら泣けるシナリオには向いている内容だと言えるでしょう。 これをチャン・イー・モウが彼風味に見事に料理しています。箱庭に囲った盲目の娘を傷つけまいと邁進する大人たちが楽しく、可笑しく、哀しい。そしてその嘘に 分かっていながら答える少女はもっと哀しく美しい。終始憮然としていた少女が大人達の温かい心に触れ、しだいにその顔に笑顔が戻ってる瞬間は本当に素敵でした。 この少女を演じている新人女優ドン・ジエはホントにこの役所を見事に演じています。偽のお金を掴まされて笑顔するところは必見です。そしてラストシーン!あの テープレコーダーが出てきた辺りからはもぅ感動の嵐でした。あんな形で少女とおじさんの対話を実現させるなんて誰が思いつくでしょう。そのまま少女の指示棒の 音だけが響くエンドロールへ・・・。素晴らしいです。久々に純粋に泣ける映画に出会いました。泣きを取りに来たっていいじゃないですか。


 全体の構成が本を読み勧めていくように組み立てられている変わった趣向の作品。完全に章分けされていて、それぞれのチャプターに表紙のイラスト及び副題もちゃんと挿入される律儀な作り。それぞれの章での小話が紡ぎ合わされて主人公であるロイアルの人生を形作っていきます。トレーラーでは他の素晴らしい家族に比べ父親であるロイアルが世界でもっとも自分勝手な男とうたわれていますが、他のテネンバウムも皆十分おかしいです。そのおかしさがなんとも愛すべき人間臭さを演出していて結局全員を大好きになってしまいました。子供達も孫達も妻も愛人も。皆が皆人生の辛さと戦いつつ生きている。馬鹿馬鹿しいシーンの応酬の中にもそういうものが見え隠れしていて笑いながらも考えさせられます。中々深い。画面の構成、配色、そして話題になっている出演者たちの古くも新しい素敵な衣装、それぞれが凄くよく出来ていて映画全体の格というか品を上げていると思います。贅沢な配役に品のいい画面、思慮深いストーリーがあいまって中々いい作品に仕上がっています。ここまで一貫性のある完成度の高い物語だけに物語をぶつ切りにする章分けの必然性がちょっと疑問になってくるとも思えますが、まぁそんな意地悪な考えは置いといて爽やかな快作を楽しみましょう。


 前作からたった1年で続編が公開という異例のスピード。前作で楽々甘い汁を吸った大人達の下卑た笑いが聞こえてきそうな感は否めませんがまぁそういう映画と関係の無い要素は捨て置いておきましょう。さて作品は正当な続編という感じで前作を見て無くてもそこそこ楽しめるように作られてはいます。前作のときに感じた古いんだか新しいんだか分からない妙な世界観も継承。正直言って全く好きになれないのも前作同様。なんなんでしょうこの映画の独特の気持ちの悪い世界観は?メカのデザインからキャラクターデザインまで全てに於いて悪趣味な安い玩具を思わす。一言で言うと気持ち悪い。どうも好きになれないな〜。殆どの劇場で吹き替えで上映されているところをみると基本的には子供向けの映画なのだと想像できるのですが、ホントにこれを子供が見て楽しめるのですか?疑問。それとこのCG全盛の時代にあって思いっきりブルーバックの境が分かってしまうような合成の仕方と、クレイモデルのようなモーションのぎこちなさは狙ってなのでしょうか?どうもその辺の独特の毒々しい雰囲気に今回も付いていけませんでした。話云々なんて関係なく。だから次があっても(あるでしょうが)同じ評価になるんだろうなと思います。

宣戦布告   

 私の記憶ではこの映画のクランクインは3年くらい前だったはずです。自衛隊の全面協力の下この難しい原作を忠実に再現するって振れ込みだったと思います。 そしてようやく公開に漕ぎ付けたかと思ったら一連の北朝鮮問題のあおりをまともに受けてテレビCMさえままならないという非常に辛い立場に立たされた本作。 多分邦画でこれ程不遇な作品は無いと言っていいほど可愛そうな一本です。内容はと言うと日本に 漂着した北朝鮮(劇中はキタ、もしくは北東人民共和国といわなければならないののも・・・)の潜水艦から逃げた工作員というトゲを以ってして、日本政府がいかに砂上の楼閣かということを有体に 表現しています。あまりに不甲斐ない日本政府の描き方にそりゃ都知事もキレるって感じです。本当はこうでないと祈りたい(でもいいとこ行ってると思う・・)。 正直ハリウッド映画を見慣れているとこういう映画って金が掛かるのねっていうのが印象です。ちょっとした造りのチャチさが全体の質感をぶち壊してしまう って気がしました。最後のヘリの辺りのシーンなんかもぅ・・・。でも、ほんと可愛そうなので皆さん見に行きましょうよ。


 『タイガーランド』以来姿を見る事の無かったコリンファレルのやっとのやっとでメジャー系デビューの作品ですね。もしこの作品を見て「コリンファレルいけてる」と思った 方は『タイガーランド』も見てみることをお薦めします。本作とは全く見事という程正反対の役どころきっちりこなしています。中々素敵ですよ。さて作品はというと白と茶褐色のみ がおりなす大地で最悪な状況から一握の砂を掴むように自由に直走るアメリカ人(限定)を描いています。沢山の人間関係に伏線をばら撒きつつ後半それを纏め上げつつ 大逆転的オチを持ってきている。まぁそんなに目新しいお話ではありません。色々な事件が起こるのですが最終的に実情がわかっても「やられたー」っというより「ふーん」って 感じ。その最大の要因は今一殺人のきっかけになる根拠が薄弱だという事。ここまで緻密に計画を描いて来た人達が、しかも結構自由奔放な収容所で、もっとやり方あったんじゃないの? と思わせてしまう所が緩い造りです。収容所の環境をもう1レベル悪化させるなり、コリンファレルの近しい人間にもっと厳しい対応をするキャラを配すなり工夫が必要だと思います。 最後はなんだかブルースウィルスがいいとこ全部持っていってしまうし。どうも話的にも絵的にも地味な印象が拭えない、そんな作品でした。

サイン   

 え〜多分洋画では初めて星無し、0点をつけさせて頂く作品です。この映画を見た沢山の人の意見の主だったところである「科学的考証がおかしすぎる」とか「お話の整合性が全く無い」といったような事を私は言いません。もとよりそんな事を期待してはこの監督の作品は見れないと思うからです。この程度のレベルで整合性云々を言うなら他にももっとひどい作品は吐いて捨てるほどあります。私がこの映画を(この監督をといってもいいかも)最低だという所以は作品の作り方が根本的に間違ってるからです。この人はまず枝の先に付いている葉の位置を決め、四方八方に散ったその葉に向かって無理矢理枝を伸ばし、それをまた無理無理繋ぐように幹をグニャグニャと延ばして繋ぎ、そして最後にあさっての場所に根を置く。そして付け加えるならその奇怪な樹木は完全に立腐れしているって事でしょうか。例えるなこういった映画の作り方をしているように感じます。適当に閃いたアイデアをまず配してから、それが破綻しないような映画の本筋を考えている。私はこんなものは映画ではないと判断します。少なくとも私の考える芸術としての映画はこうではない筈です。いいですかM・ナイト・シャマランさん。樹木ってのは根と幹がしっかり立っているからいい枝ぶりになり噎せ返るような葉が芽が萌えるのですよ。アイデアを生かすために本筋を考えるというのは全くもって目的と手段を取り違えている事にそろそろ気づきましょう。届かないメッセージである事この上なくとも言いたくなる、そんな作品でした。


 平穏な生活を捨て自堕落な世界に引き込まれていく影の薄い女性のお話。こういう自虐的なキャラクターを演じるとホントに生き生きするモリー・パーカーが主演。かなり辛めの役所を破綻する事無くしっかり演じている所には賛辞を送りたい。ただしこの話はちょっと共感できない(あたりまえか)部分が多々ありました。一番はレイラが落ちていく切っ掛けがイマイチはっきりしないという事。何故そうしなければならなかったのか?劇中の言葉を借りると「何故あんた見たいな美人がこんなことを・・・」って事です。原作では事細かに書いてあるのかも知れませんが映画としてそれが読み取れないとちょっと辛いと思いました。後、女の子の方の話がかなり浮き気味でバッサリ切り取るか、きっちり造り込むかどちらかにして欲しかったです。終止湿った暗い世界観は中々よかったのでこの辺がスッキリすればもっと面白くなったのにと感じた作品でした。

ソウル   

 TOKIO長瀬氏主演のお気らく娯楽映画。映画初主演と云うことらしいですが全くもってドラマなのりで軽ーい感じ。どうもそれが制作者側の意図している所らしいのは見て取れました。恐らくは日韓の微妙な間柄を軽く説いておきたいという狙いからでしょうが。それが作品全体のチープさに直結していて、なんだか気の毒。シリアスで見せる所とそういった軽いシーンとがイマイチ噛み合っていないように感じました。お話も無理無理でツッコミ所満載。このキャスティングで連続ドラマを撮ったほうがよっぽど良かったと思いましたが、今後そういうのもありかもしれませんね。


 トレーラーを見た時はサイコスリラーっぽいのか?と思って見に行ったのですが、ここ数年で最も裏切られた映画でした。思いっきりアクション映画。それも恐ろしい程のファンタジー色豊かな。これはジェボーダンの獣を出典にしたファンタジーヒーローアクション映画です。でもこれが中々良く出来ていた。とにかく主役の二人の強い事強い事!10人以上に囲まれても平気でのしてしまうし。殆ど無敵状態。単純にカッコイイ。殺陣もちゃんと考えられていて位置関係も割とすっきり把握できる。高速度撮影の緩急も私の好きな感じでした。さいごにゃガリアンソード持ったラスボス出てくるし、モニカベルッチは扇子で人の首切るし何でもあり。特にマニ役のマーク・ダカスコスのアクションは毎度ながら見愡れるものがありますね。素晴らしいです。その他ヴァンサンカッセル等々欧州を代表する役者目白押しで贅沢です。なんだかフランス語が不釣り合いな程アメリカ的な映画ですが気持ちの良いアクションを堪能したい方にはお薦めです。

修羅雪姫   

 ふんにゃかして無い釈由実子さんがウリのこの作品。たしかにまるで違うキャラクターでした。しかも中々見事に演じていてちょっとビックリ。映画初主演ということらしいですが、それなりに色々役所をやってみれば化けるかも・・・なんて思ってしまう程本気の演技でした。ストイックでハードな殺し屋を熱演しております。原作版『バトルロワイアル』のような今の日本とはパラレルにずれている世界がベース。この世界感の造り込みも少ないCGのカットと小物だけで結構巧く見せていて感心。アクションもかなり本気でチャレンジしており魅力があるシーンが沢山有ります。呵責のないストーリー展開も評価に値すると思います。全体的に中々楽しめる娯楽作品だと思いました。ただし伊藤英明氏の毎度ながらの通り棒読み気味の演技にはちょっと眉をひそめる所。どの映画でも同じようなキャラだし。それゆえに釈由実子さんの演技が光ったという事なのかも。