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プロローグ
リアリズムを追求する体感ゲームにおいて、今でこそCG(コンピュータグラフィック)は不可欠なものになっている。しかしCGの技術が未発達だった1995年では、プレーヤーを熱中させる画面を作るために実写映像を使用することもあった。そのために遥か南米コスタリカまで飛んだ男達がいた−。
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行くしかない!
1995年夏−フィッシングゲーム「SPORTS FISHING」の成功から、さらに大型魚を釣る体感ゲームの開発が急がれた。しかし、当時はまだ、水や魚の動きをCGで表現するのは難しく、実際に魚を吊り上げる映像を使おうということになった。テレビ関係者をはじめ、リアルな映像を所有するところに何件もあたったが、望むようなプレーヤーの視線で撮された映像は見つからなかった。
「これが限界なのか?」。スタッフが憔悴しきったときに、プロジェクトのリーダーが言った。「オレたちが映像を撮りに行こう」。その一言はスタッフみんなの瞳に希望の光を灯した。
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ウシシの撮影旅行?! いざ南米コスタリカへ
すぐさま撮影に向けてプロジェクトが結成された。「世界で大型魚が釣れる確率が一番高い場所はどこだ?」と専門家に聞いたところ、南米のコスタリカとの回答を得た。その間に最高のプロのアングラー、最高のカメラマン、最高の船乗りを手配した。会社には「絶対いい映像を撮ってくるから行かせてくれ!」とタンカも切った。
実はみんな心の中ではささやいていた。
「やった! コスタリカに撮影旅行だ! 2週間釣り三昧だ!」
こうして総勢10人のチームは南米コスタリカへ飛んだ。
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イスラデペスカに生息する神の魚
そしてコスタリカの大西洋側にあるイスラデペスカに到着。原住民が住み、マニアックなアングラーだけが訪れるという、ジャングルの中の小さな村だ。目指す大型魚は、原住民が神の魚と崇める「ターポン」。ターポンは吃水域に生息し、全長1.5m〜2mという大きさ、全身には手のひらほどの鱗がびっちりあり銀色に輝く。これがゲームの画面内で動けば、プレーヤーを熱中させないわけはない。スタッフはジャングル探検気分で浮かれていた。
この後大変な試練が待受けてるとも知らずに…。
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いまさら重大な事にきづく
イスラデペスカ2日目。雨でまったく撮影にならなかった。ようやく今回の撮影が非常に困難な事に気づいたスタッフたち。撮影期間は2週間。予算やスタッフのスケジュールのため帰国日は延ばせない。その間に必要な映像を絶対撮って帰らなければならない、とにかく困難が多かった。まず、目的の魚が釣れるという保証がない。釣れたとしても、その時の天候、太陽の位置、船の揺れ、アングラー目線の映像なので人間が写ってはNG、それら全てをクリアする映像が2週間で撮れるのだろうか? さらに最悪な事に、ジャングルに唯一電気が来ているロッジも電源が不安定で停電が当たり前、カメラの充電もおぼつかないまま日が過ぎていく。
このまま手ぶらで帰る事はできない。多大な撮影費用を無駄にするばかりかプロジェクト自体もボツにしてしまう。スタッフに焦りが出てきた。そうして4日がすぎた。スタッフ全員、カメラマンも通訳も総出で竿を降ろしている。みんな無言で祈っていた。「釣れてくれ!!」
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奇跡のフィッシュオン!
灼熱の太陽や船酔いと戦い、スタッフ間の言い争いも増えてきた。みな限界が来ている。もうこれまでか、と諦めかけていた時!「来た!」ついにスタッフの竿にターポンがヒット!しかも今回釣りが初めてというスタッフ。ビギナーズラックに助けられたのか、渾身の力でフッキングし、すぐにプロのアングラー丸橋さんにチェンジ。リールがキーンと音をたてて唸る、50mほどに近づいたとき、ターポンが思わずジャンプ!ギラリと輝く。その大きさに全員が驚き、ざわめく。カメラマンは狭い船の中で必死に体勢を保ちカメラを回している。ターポンの引きが強い、船が引っ張られてぐるぐる回転するほどだ。こうしてターポンとの格闘は30分以上続いた。
結局、5匹のターポンを釣り上げ、撮影も無事終了。ロッジに戻り、撮影したばかりの映像をチェックした。そこには水飛沫をあげるタ−ポンが輝いていた…。スタッフ達には完全に運が向いてきた。その後太平洋側のカジキ狙いも大成功、大量の映像を持ち帰ることができた。
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これこそ真のリアリズムだ
ゲームのリアリズムは、CGなど最先端の技術だけで表現されるわけではない。いわばローテクだが身体をはった、あくなきリアリズム追求の精神がプレーヤーを夢中にさせるゲームを生み出すのだ。CGが発達した今でもこの精神は、メカトロの中で息づいている。
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